エチゾラム(etizolam、商品名:デパスなど)は、チエノジアゼピン系マイナートランキライザーに属する抗不安薬兼睡眠薬のひとつ。 神経症からくる不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害、うつ病からくる不安・緊張・睡眠障害、統合失調症における睡眠障害、頸椎症・腰痛症・筋収縮性頭痛からくる不安・緊張・抑うつおよび筋緊張に適応がある。
日本国内では、デパス、アロファルム、エチカーム、エチセダン、エチゾラム、エチゾラン、エチドラール、カプセーフ、グペリース、サイラゼパム、セデコパン、デゾラム、デムナット、ノンネルブ、パルギン、メディピース、モーズンの商品名で販売される。日本国外では、Depas、Sedekopan等の商品名で販売される。
エチゾラムは多くの後発医薬品が存在するため薬価が安くなるケースもある。
化学名は 4-(2-Chlorophenyl)-2-ethyl-9-methyl-6H-thieno[3,2-f][1,2,4]triazolo[4,3-a][1,4]diazepine
錠剤:0.5, 1mgの錠剤
細粒:1%
チエノベンゾジアゼピン系抗不安薬は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と同一の作用機序をもつ。すなわち、シナプス後細胞側に存在するGABAA受容体に結合することによりCl-イオンを透過させやすくし、神経細胞の膜電位を負の方向に過分極(活動電位の閾値に到達させる方向とは逆方向)させるので、神経細胞全体としては興奮が起こりにくくなり、結果神経活動全体に対して抑制的に働く。
GABAA受容体は3種類のサブユニットα、β、γが複数ずつ組み合わされて構成されたイオンチャネル共役型受容体であり、そのたんぱく質のモチーフは4回膜貫通型の膜たんぱく質型に分類される。そしてGABAA受容体の存在する組織の部位によってサブユニット構成が異なることが知られている。GABAがGABAA受容体に結合することでCl-イオンチャンネルが開くが、ベンゾジアゼピン結合部位はGABA結合部位とは異なりアロステリック的にGABAの作用を増強するように働く。また、ベンゾジアゼピン類はγサブユニットと関係が深いことが研究により判明している。
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GABAA受容体は小脳などを含めた広く脳全体に分布しているが、特にベンゾジアゼピン類に感受性を持つGABAA受容体が多いのは視床下部および大脳辺縁系、特に扁桃核である。これらの部位においてチエノベンゾジアゼピン系抗不安薬もGABA作用を増強し神経伝達に対して抑制作用を示すことで、不安・緊張などの情動異常を改善する。それ故、中枢神経の他の部位が関与する機能、例えば高次脳機能等に対しては抑制作用が少ない。
また、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と同様に、睡眠導入および筋弛緩作用も併せ持つ。そして、大量では呼吸抑制を引き起こす。
薬理 [編集]
エチゾラムはジアゼパムに比べ、強い力価(重量あたりの薬理作用強度)を持つ。すなわち、薬理実験ではベンゾジアゼピンの5 - 6倍の作用を示し、1/4程度の量で作用が期待される。
そして作用発現および持続が短時間(6時間以内)であるという特徴を持ち、服用後約3時間(食後30分経口)で最高血中濃度に到達する。
抗不安薬としては他のマイナートランキライザーと大同小異であるが、作用が強い分だけ連用後の退薬症状(いわゆる禁断症状)が出やすい。すなわち、強い作用と後を引かないという特性から不眠の際の睡眠導入剤として利用される場面が多い。また筋弛緩作用も強いため、肩こりなどの症状にも内科などで処方される場合がある。